2011年04月07日-3
炭素税を活用した景気刺激策を提言~日本経済研

 日本経済研究センターの会報4月号の連載コラムは、「震災復興、電力不足対策と財政再建」と題し、「炭素税を活用した景気刺激策」の必要性を提言している。大震災からの復興、景気回復、財政再建の3つを達成するのは非常に困難だが、「今度こそ政治がリーダーシップを発揮して、既得権をリセットし、国民のやる気を引き出せば決して不可能なことではない」と、省エネと新エネルギーへの投資で景気拡大につなげていく旨提言した。

 東日本大震災は、すでに厳しい状況にある日本の財政に対しても、大きなマイナス要因となる。経済の縮小は税収を減少させると同時に、地震と津波で大きな被害を受けた社会資本の再建、被災者に対する自立支援事業の実施、放射能汚染に伴う損害の補償などで、財政赤字を相当拡大させることになる。今後3年間に、少なくとも10兆円程度の財政支出増加と10兆円程度の税収減が生ずるのは避けられないと強調。

 このため、今後予想される老朽化した原子炉の廃炉、原子力発電所の安全基準の強化などにより、日本経済は大規模な電力不足に直面すると予想され、当面、原子力発電の縮小により、温暖化ガスの排出が増加するのは避けられない。省エネと温暖化効果の少ないエネルギーへのシフトを促すため、早急に二酸化炭素排出に対する課税(環境税としての炭素税)の導入が必要であると指摘している。

 例えば2012年4月から、輸入化石燃料にCO21トン当たり5000円の炭素税を導入、その後毎年2000円ずつ引き上げ、2021年に2万円にする。これにより毎年1.6~1.8兆円の税収増加を10年間見込める。税収の3分の2程度を震災からの復興財源、住宅の断熱工事や省エネタイプの家電製品への買替え補助金の支給、企業の省エネ投資の補助金等に使い、残りを財政赤字の削減に使えば、景気刺激と財政赤字削減を両立できるとしている。

 同提言の全文は↓
 http://www.jcer.or.jp/column/fukao/index274.html

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