2011年03月30日-2
課税標準の特例適用は1月1日の現況判断と最高裁

 固定資産税等の課税標準の特例の適用は、「敷地の用に供されている土地」であるかによって判断されるが、あくまでその年の1月1日における現況によって決すべきで、その後に生じた事態から遡って適用しなかったのは違法として、最高裁はこのほど、渋谷都税事務所長が上告人に対し2007年2月9日付けでした2005年度の固定資産税及び都市計画税の賦課決定に関する部分を破棄し、同部分につき第1審判決を取り消した。

 この事件は,東京都渋谷都税事務所長が上告人に対してした第1審判決別紙物件目録記載の土地に係る2005年度及び2006年度の固定資産税及び都市計画税の各賦課決定において、地方税法349条の3の2、702条の3各所定の住宅用地に対する固定資産税等の課税標準の特例のうち、面積が200平方メートル以下である住宅用地に対する特例が適用されなかったため、これを不服とする上告人が各賦課決定の取消しを求めていたもの。

 上告人は、土地・建物をA株式会社に依頼し新家屋の建築工事を行ったが、地下1階部分のコンクリート工事がほぼ終了した段階で、多数の瑕疵が判明するとともに、近隣住民の反対等で工事が進捗せず、2006年2月ころA社は、上告人に土地を建築途中の新家屋とともに買い取りたいとの申し入れ、A会社に譲渡された。渋谷都税事務所長は、各年度の固定資産税等特例の適用がないものとする賦課決定を行い、訴訟に及んでいたもの。

 1審は、原告敗訴の判断を下したが、最高裁は、2006年度処分に関する部分は是認、2007年度処分に関する部分は違法とした。同特例は「敷地の用に供されている土地」に対して適用されるもので、ある土地が「敷地の用に供されている土地」に当たるかどうかは,当該年度の固定資産税の賦課期日における土地の現況によって決すべで、遡って賦課期日に「敷地の用に供されている土地」でなかったことになるものではない、と判断した。

 同最高裁判断の概要は↓
 http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20110325112343.pdf

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