2011年03月14日-2
租特を3ヵ月延長の「つなぎ法案」を議員立法で提出

 政府・民主党は、2011年度予算関連法案のうち税制改正法案と子ども手当法案の年度内成立を断念し、2010年度と同じ措置を延長する「つなぎ法案」を議員立法で提出する方針だ。「つなぎ法案」が成立しても政府提出の両法案の成立が見込めない状況は変わらず、菅直人首相が主導した法人税率の5%引下げの実現は困難とみられ、子ども手当も2歳以下の7000円増額を見送らざるを得ない状況だ。

 予算関連法案を巡っては、税制改正法案が年度内に成立しなければ、登録免許税や石油石炭税等を軽減するなど約100項目の租税特別措置が3月末で期限切れとなる。「つなぎ法案」では、これらの減税措置を現行のまま継続する内容になる見通し。つなぎの期間は最長1年とする案も検討されているが、法人税減税などの税制改正方針について「全面撤退と受け取られる」(党政調幹部)との反発もあり、3ヵ月を軸に調整している。

 子ども手当は現在、2010年度のみの時限立法で15歳以下1人あたり月額1万3000円が支給されている。2011年度の子ども手当法案には2歳以下を2万円に増額することが盛り込まれたが、成立しなければ自公政権時代の児童手当が復活することになり、支給が遅れるなどの混乱も予想される。政府・民主党は増額をあきらめた分を保育所の増設などに回すことで野党の理解を得たい考えで、つなぎ期間については6ヵ月間を検討している。

 自民、公明両党は税制の「つなぎ法案」には賛成する姿勢をみせており、野党が多数を占める参院でも可決・成立しそうだが、賛成条件として衆院解散・総選挙のセットを求める意見もある。子ども手当のつなぎ化には両党とも反対する構えで、参院での成立は見込めない状況。政府・民主党は衆院の3分の2以上の賛成による再可決を念頭に共産、社民など野党に協力を呼びかける方針だ。

 参院で野党が多数を占める自民党が与党時代の08年は、つなぎ法案を成立させるとともに、参院で60日以内に議決しないときには否決とみなす60日ルールで衆院で4月30日に本体法案を再可決し成立。09年は、参院で否決されたため衆院で再可決し年度内に成立させた。しかし今国会では、つなぎ法案により当面は乗り切れても、衆院で与党が3分の2を確保できず再可決できないため、その後の本体法案成立の見通しが立っていない。

ウィンドウを閉じる