2011年03月10日-2
吉川栄治文学新人賞の副賞は一時所得、消費税不課税

 東京国税局はこのほど、吉川英治文学新人賞を受賞した作家から、その副賞として受領した賞金(所得税法第204条第1項第1号に規定する原稿の報酬としての源泉徴収はされていない)が、所得税法上一時所得に該当し、また、消費税法上、課税の対象外(不課税取引)と解して差し支えないかとの文書照会に対して、所得の帰属については一時所得に該当し、消費税法上不課税取引に該当する旨回答した。

 対価を得て継続的に行う事業から生ずる所得は事業所得とされており、また、所得税基本通達27-5においては、事業所得の総収入金額に算入すべき事業の遂行に付随して生じた収入が例示されている。本来の事業活動による収入のほかに、事業の遂行に付随して生ずる収入も、事業所得の総収入金額に含まれ、文筆家やプロ野球選手がその業績、活動に対して与えられる賞金等も同様に考えることができる、とされている。

 今回の副賞である賞金は、著作に係る対価を支払うべき出版社以外からのものであり、既に出版されている作品の中から選考委員に選ばれた作品に対して与えられるものとした上で、作家としての本来の事業活動による収入ではないのはもちろん、文筆活動を行う中で一般的に受領し得る性質のものとも言い難く、むしろ予期せぬ事情により臨時・偶発的に生じた収入と考えることが相当であり、対価性のない一時所得に該当するとした。

 一方、消費税法基本通達5-5-8は、「当該賞金等の給付と当該賞金等の対象となる役務の提供との関連性の程度により個々に判定」するとされ、同文学賞は、既発表(出版)の作品を対象として主催者が一方的に選考し、表彰するものだから、受賞者が主催者に何らかの役務の提供を行った若しくは行う結果として給付されるものではなく、資産の譲渡等の対価に該当しないとし、不課税であるとの見解を認めている。

 同回答の全文は↓
 http://www.nta.go.jp/tokyo/shiraberu/bunshokaito/shotoku/110217/02.htm#b1

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