2011年03月10日-1
居住用財産の買換特例「2億円要件」の判定方法

 2010年度税制改正で延長された「特定の居住用財産の買換えの場合の長期譲渡所得の課税の特例」は、特定の居住用財産を譲渡し、代わりの居住用財産に買い換えた場合、一定の要件のもと、譲渡益に対する課税を将来に繰り延べることができるという制度。2010年度の税制改正により、譲渡資産の譲渡対価「2億円以下」との要件を追加した上で、その適用期限が2011年12月末まで2年延長されている。

 同特例については、2009年の政府税制調査会で「高額な譲渡益が発生しているにもかかわらず課税を行わないことは税の公平性を損なう」との指摘があった一方、当時の厳しい経済状況下では「住宅・不動産の流動化を促進し、ライフステージに併せた住替えを引き続き促進するための税制支援が必要」といった意見もあったことから、2億円の金額要件を設けた上で延長されたものだ。

 「2億円」の判定については、(1)譲渡資産が店舗兼住宅だった場合、特例の対象となる部分や譲渡対価の額をどのように算出するのか、(2)譲渡資産の一部を贈与している場合はどうなるのか、といった疑問が生じる。この点について、通達では、(1)については、通達中に明記された算式に基づいて計算すること、(2)は、譲渡の年の前後2年以内に贈与がある場合、譲渡対価の合計額に贈与時の価額を含めて判定することなどが示されている。

 (2)については、2億円を超える高額な居住用財産の一部を贈与することで要件をクリアすることを防ぐための措置だ。つまり、同特例の適用を受ける居住用財産と一体として利用していた部分を別途分割して売却している場合における2億円以下であるかどうかの判定は、居住用財産を売却した年の前々年から翌々年までの5年間の分割して売却した部分も含めた売却代金により行うこととされている。

 このため、居住用財産を売却した年、その前年及びその前々年の売却代金の合計額が2億円以下であることから、この特例を受けていた場合で、居住用財産を売却した年の翌年または翌々年にこの特例の適用を受けた居住用財産の残りの部分を売却して売却代金の合計額が2億円を超えた場合には、その売却の日から4ヵ月以内に修正申告書の提出と納税が必要となるので注意したい。

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