2011年03月07日-1
死亡保険金の非課税枠縮小!「生計を一」の範囲とは

 2011年度税制改正法案では、相続税が課税強化され、最高税率の55%引上げや基礎控除の引下げとともに、死亡保険金の相続税の非課税枠についても、非課税枠を利用できる対象を法定相続人のうち、未成年者、障害者、相続直前に被相続人と「生計を一にしていた者」に限定し、同居していない法定相続人は除外される。そこで、生命保険金の非課税限度額の計算をめぐり、「生計を一にしていた者」の範囲に関心が寄せられている。

 生命保険金の非課税限度額とは、死亡保険金を相続した場合に相続税の計算上控除できる「500万円×法定相続人数」という非課税枠のことである。死亡保険金は本来、その受取人固有の財産であるが、税法上は「みなし相続財産」として相続税の課税対象となる。2011年度税制改正法案では、この非課税限度額計算における法定相続人の範囲が、上記のように大幅に縮小されることになった。

 例えば、夫婦子ども2人の4人家族で、夫の死亡により妻が1500万円の死亡保険金を受け取った場合、現行法では保険金の非課税枠は、「500万円×法定相続人3人」で1500万円となるため相続税はかからない。しかし、子ども2人が上記の要件に当てはまらない場合、今回の税制改正によって非課税枠計算から外れるため、保険金の非課税枠は、「500万円×法定相続人1人」で500万円となり、1千万円が課税対象となってしまう。

 そこで、上記の要件のうち「生計を一にしていた者」の範囲に強い関心が寄せられているわけだ。一般的には、一つ屋根の下で生活を共にしているかどうかが判断基準となる。特に高齢になると、死亡するときに一緒に暮らしているのは、配偶者のみというケースが多くなると予測されるので、法定相続人の数が少なくなると、相続税の負担が重くなるケースが増えるとみられている。

 しかし、「生計を一にしていた者」の範囲は、必ずしも同居や扶養を伴うものでもない。税務当局は、「実際の住居の状態や生活費の負担状況、生活スタイルなどを総合的に見て個別に判断する」という。相続発生直前に慌てて同居するケースも増えそうだが、この点について税務署は必ずチェックしてくるので、不動産登記や光熱費等の負担状況、居住空間の共有度も含め、「実態」の立証要素の整備には細心の注意を払う必要があろう。

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