2011年02月28日-3
遺言での相続予定者が死亡、その子に代襲相続認めず

 被相続人の死亡以前に死亡した推定相続人に対してなされた遺言書の効力が代襲相続人にまで及ぶか否かで争われていた「法定相続分に相当する持分等を有することの確認を求める」裁判で、最高裁は2月22日、「推定相続人の代襲者その他の者に遺産を相続させる旨の意思を有していたとみるべき特段の事情のない限り、その効力を生ずることはないと解するのが相当」として、代襲相続人の主張を退ける判決を下した。

 この裁判は、被相続人Aの子である被上告人が、遺産の全部をAのもう一人の子であるBに相続させる旨のAの遺言は、BがAより先に死亡したことにより効力を生ぜず、被上告人がAの遺産につき法定相続分に相当する持分を取得したと主張して、Bの子である上告人らに対し、Aが持分を有していた不動産につき被上告人が上記法定相続分に相当する持分等を有することの確認を求めていたもの。

 原審は、本件遺言は、BがAより先に死亡したことによって効力を生じないこととなった、と判断して、被上告人の請求を認めた。しかし、上告人は、本件遺言においてAの遺産を相続させるとされたBがAより先に死亡した場合であっても、Bの代襲者である上告人らが本件遺言に基づきAの遺産を代襲相続することとなり、本件遺言は効力を失うものではない、と主張していた。

 最高裁は、「相続させる」旨の遺言は、遺産を相続させるものとされた推定相続人が遺言者の死亡以前に死亡した場合には、その遺言に係る条項と遺言書の他の記載との関係、遺言書作成当時の事情及び遺言者の置かれていた状況等から、遺言者が、推定相続人の代襲者その他に遺産を相続させる旨の意思を有していたとみるべき特段の事情のない限り、その効力を生ずることはないと解するのが相当、として裁判官全員一致で上告を退けた。

 同判決要旨は↓
 http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20110222120159.pdf

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