2011年02月28日-1
事業・不動産所得申告での共通の注意事項

 2010年分の確定申告が始まっているが、ここでは、事業所得、不動産所得の申告に当たって共通の注意事項や誤りやすい事例を紹介したい。まず、収入金額について、たな卸資産等を家事消費や贈与など自家消費した場合は総収入金額に算入しなければならない。たな卸資産等を家事のために消費した場合は、原則、販売価格が収入金額だが、特例として、仕入価額と販売価額の70%の金額のうちいずれか多い金額が収入金額となる。

 誤りやすい事例としては、税込経理方式の適用者が、還付を受けた消費税等を雑収入に計上していないケースがある。また、税抜経理方式の適用者が、仮払消費税等の金額と仮受消費税等の金額の差額と、納付する(還付される)消費税等との差額を、消費税等の納税申告書を提出した日の属する雑収入(必要経費)に算入しているケースがある。差額は、その課税期間に対応する年分の雑収入(必要経費)に算入しなければならない。

 次に、家事費等が必要経費となるのは、業務の遂行上必要である部分を明確に区分できる場合におけるその部分に相当する経費のみだ。家事関連費の家事分と事業分との区分は、使用面積などの適切な基準により按分して計算する。店舗併用住宅の住宅部分等に係る費用をすべて必要経費に算入し、固定資産税や水道光熱費、損害保険料、借入金利子、減価償却費などを按分して計算していないケースがみられる。

 また、事業者が生計を一にする配偶者その他の親族に支払う給料等は、必要経費に算入されない。この特例として、青色申告の場合、「青色事業専従者給与」が、それ以外(白色)の場合、「事業専従者控除」がある。白色の専従者控除額は、(1)50万円(配偶者は86万円)、(2)専従者控除前の所得金額÷(専従者数+1)、のいずれか低い金額とされているが、所得が少ないのに一律50万円の専従者控除をしている間違いも見受けられる。

 そのほか、減価償却費や修繕費、繰延資産の償却、借入金利子などに関しても誤りやすいポイントがある。疑問が生じたら税理士など専門家に相談する必要があろう。

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