2011年02月21日-3
2011年中の贈与は現行税率と新税率との選択制に

 2011年度税制改正では、若年世代への早期資産移転をより一層促進するため、相続税の見直しと併せ、相続時精算課税制度の対象とならない贈与財産に係る贈与税の税率構造が見直される。具体的には、現行10%から50%までの6段階となっている暦年課税の超過累進税率を10%から55%までの8段階にした上で、20歳以上の者が直系尊属から受けた贈与は、一般の贈与の場合と区別して税負担を軽減する特例が設けられる。

 一般の贈与の場合は、現行は基礎控除後の課税価格が1000万円を超えると一律50%の税率が課されていたが、新税率では、課税価格1000万円から1500万円までが45%に軽減される一方、1500万円超3000万円が50%、3000万円超は55%に強化される。また、直系尊属からの贈与については、現行に比べ、課税価格400万円超から3000万円までは軽減され、3000万円超4500万円は50%だが、4500万円超は55%と強化される。

 改正後の税率は、原則、今年1月1日からの遡及適用となるが、贈与金額によっては、現行より税負担が軽減される場合と増加する場合とが出てくる。このため、2011年中の贈与については、納税者不利となる改正は遡及適用しないという原則から、改正前の税率と改正後の税率との有利なほうを選択適用できる経過措置が設けられる。つまり、改正後の新税率で税額が増加する場合は、改正前の旧税率で計算できるわけだ。

 ちなみに、一般贈与の場合は、課税価格が1000万円から3500万円以下なら新税率のほうが有利だが、3000万円を超えるあたりから増税となり、1億円では税負担が300万円強増える。また、直系尊属からの贈与では、課税価格が400万円から8000万円までなら新税率のほうが有利だが、8000万円を超えるあたりから税負担が増え、1億円では税負担が85万円程度増加する。今年1年間の贈与は有利不利の見極めが重要となろう。

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