2011年02月21日-2
年収300万円以下の個人事業者でも約半数は青色申告

 所得税の確定申告が16日から始まっているが、事業所得者の確定申告者は2005年を境に減少傾向にあり、2009年分の事業所得の申告者は前年比12%減と、個人事業者の経営は厳しさが続いている。こうしたなか、弥生(株)が発表した「個人事業者の確定申告に関する調査」では、年収300万円以下の個人事業者でも約半数は青色申告だったことや、青色申告者のほうが白色申告者よりも黒字率が高いことがわかった。

 昨年12月始めに実施した調査結果(有効回答1000人)によると、2009年分申告での青色申告の割合は全体で54%だが、年収「300万円以下」の個人事業者でも49%と約半数が青色申告を行っていた。青色申告を利用しない理由として「帳簿をきちんとつけて管理するほどの事業規模ではない」との意見を良く聞くが、事業規模にかかわらず、青色申告制度が多く利用されていることが明らかになった。

 また、青色申告のメリットの1つである「65万円」または「10万円」の青色申告特別控除の利用割合をみると、複式簿記による65万円控除を受けている個人事業者は46%、簡易簿記や現金主義による10万円控除は31%となっている。こうしたことから、年収の多寡に関わらず、青色申告の65万円控除を利用することで上手に節税し、黒字経営に役立てていることが推測される。

 個人事業者の経営状況を比較してみると、黒字が続いている割合は、青色申告者で約42%、白色申告者では約29%と、青色申告のほうが13ポイント高い。青色申告者は、白色申告者に比べて、節税のメリットを多く享受することで、セーブされた資金を事業に有効活用できており、また、65万円の控除制度は、複式簿記による事業管理が前提とされ、より緻密な管理体制も黒字営業に寄与しているものとみられる。

 青色申告、白色申告での申告方法別年収と経営状態では、年収「500万円超」になるとどちらの申告も黒字が続いている割合はほとんど変わらないが、「300万円超500万円以下」では15ポイント、「300万円以下」では11ポイント、それぞれ青色申告者のほうが黒字継続割合が高くなっている。同社では、低収入者ほど青色申告のメリットが直接的に経営に影響を与えていると分析している。

 同調査結果の詳細は↓
 http://www.yayoi-kk.co.jp/news/20110208.html

ウィンドウを閉じる