2011年02月10日-1
消費税等の確定申告における納税義務者に係る注意点

 個人事業者の消費税等の確定申告はすでに1月4日から始まっているが、その確定申告にあたって納税義務者に係る誤りやすい注意点がある。まず、納税義務者は課税期間(2010年)の基準期間(2008年)における課税売上高が1000万円を超える事業者などだが、2008年分において免税事業者だった個人事業者が納税義務の判定に当たって、売上高に105分の100を乗じて課税売上高を計算している誤りが見受けられる。

 例えば、2008年分の売上高は1040万円だが、105分の100を掛けると約990万円だから、1000万円を超えないので申告しないといった具合だ。ところが、免税事業者の売上には消費税が課されていないので、基準期間である課税期間に免税事業者だった場合の課税資産の譲渡等の対価の額は、その期間中に国内において行った課税資産の譲渡等に伴って収受し、または収受すべき金銭等の金額の全額となることに留意する必要がある。

 また、2010年分における基準期間の課税売上高を計算する際に、事業用資産の譲渡の対価の額を含めていないケースもみられる。例えば、住宅用として貸し付けていた建物であっても、その譲渡は課税の対象となるので、これらの金額を含めて判定しなければいけない。次に、被相続人が提出した「消費税課税事業者選択届出書」の効力は、相続人には及ばないので、その適用を受けるためには、新たに同届出書を提出する必要がある。

 そのほか、「消費税課税事業者選択届出書」を提出した者について、基準期間の課税売上高が1000万円を超えた場合には、同届出書の効力は消滅しない。その届出書を提出したことで課税事業者となった後の基準期間の課税売上高が1000万円を超えた場合であっても、「消費税課税事業者選択不適用届出書」を提出しない限り、再度基準期間における課税売上高が1000万円以下になる課税期間においても、課税事業者になるので要注意だ。

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