2011年01月27日-3
破産会社元従業員の給与等債権への源泉所得税の還付

 国税庁はこのほど、1月14日に最高裁第二小法廷が、破産した会社の元従業員に支払われる退職金の所得税を巡り、破産管財人が源泉徴収する義務はないとする初判断を示したことを受けて、破産前の雇用関係に基づく給与または退職手当等の債権に対する源泉所得税は還付を受けることができることを明らかにし、還付請求手続きなど、還付請求を行うにあたっての留意事項を示した。

 所得税法では、国内において給与や退職手当などの一定の所得の「支払をする者」は、その支払の際、所得税を徴収し、これを国に納付する義務があるとされている。最高裁は、この「支払いをする者」について、破産管財人は、破産宣告前の雇用関係に基づく退職手当等の支払に関し、その支払の際に所得税の源泉徴収をすべき者としての地位を破産者から当然に承継すると解すべき法令上の根拠は存在しないと指摘した。

 このため最高裁は、破産管財人は上記退職手当等につき「支払いをする者」には含まれず、源泉徴収は要しないとの判決を示した。そこで、国税庁は、破産前の雇用関係に基づく給与や退職手当等の債権に対する配当については、源泉徴収を要しないこと、また、これらの配当につき納付された源泉所得税は過大に納付されたことになるため、その過大に納付された源泉所得税の還付を受けられることを明らかにしたわけだ。

 源泉所得税の還付については、納付の日の翌日から5年以内のものについて、源泉所得税の誤納額還付請求書(様式は国税庁ホームページに掲載)に必要な書類を添付して提出すれば、必要な確認を行った上で還付される。また、誤納額として還付される金額は、破産前の雇用関係に基づく給与または退職手当等の債権に対する配当から天引きされたものなので、還付金額を各退職者に返金する必要があるとしている。

 なお、返金を受けた人については、源泉徴収税額が変更になるので、確定申告(または修正申告)をして返金相当額を納付する必要があるので注意したい。

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