2011年01月19日-1
環境税は今年10月から4年かけて3段階で実施

 2011年度税制改正において地球温暖化対策税(環境税)が導入される。2010年6月に閣議決定された「エネルギー基本計画」では、わが国の温室効果ガスの約9割を占めるエネルギー起源CO2の2030年30%(90年比)削減を見込んでいる。これに必要な対策を中長期的に強化するため、石油石炭税に「地球温暖化対策のための課税の特例」を設け、各燃料のCO2排出量に応じた税率を上乗せする。

 この増税部分を環境税と位置づける。上乗せする税率は、原油・石油製品が1キロリットルあたり760円、ガス状炭化水素が1トンあたり780円、石炭は1トンあたり670円とする。この結果、上乗せ部分を合わせた石油石炭税の税率は、原油・石油製品が1キロリットルあたり2800円(現行2040円)、ガス状炭化水素が1トンあたり1860円(同1080円)、石炭は1トンあたり1370円(同700円)となる。

 税率引上げは、現下の厳しい経済情勢を踏まえ、今年10月1日から、2013年4月1日、2015年4月1日と4年をかけて3段階で実施する。増税による初年度の税収は350億円程度だが、最終的には約2400億円の増税になる。税収はエネルギー対策特別会計の下で、エネルギー起源CO2の排出抑制に真に必要な対策の強化に充てる。影響の大きなエネルギー集約産業や中小企業等には予算措置も含めてきめ細かく配慮するとしている。

 税収の主な使途としては、住宅用太陽光発電や住宅・建築物の省エネ設備の導入支援等「民生部門対策」、事業者向け省エネ設備の導入支援や天然ガスの利用促進等「産業部門対策」、次世代自動車(電気自動車等)の導入支援やバイオ燃料の導入支援等「運輸部門対策」、CCS(二酸化炭素回収・貯留技術)、高効率火力発電、洋上風力発電等の開発・実証など「革新的技術の開発」のほか、「海外でのCO2削減対策」が掲げられている。

 一方、輸入・国産石油化学製品製造用揮発油等や輸入特定石炭など、現行の原料用途の石油・石炭等の免税・還付措置は、上乗せ税率にも適用される。さらに、ソーダ産業の自家発電用石炭、内航運送用船舶や一定の旅客定期航路用船舶に利用される重油・軽油等には、免税・還付措置が創設される。また、エネルギー多消費産業や中小企業に対しては、省エネ設備の導入支援や省エネ技術開発支援の拡大など、歳出面で配慮する。

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