2011年01月13日-3
雇用促進税制の創設、1人増加で20万円税額控除

 2011年度税制改正において、一定以上の雇用増を生み出した企業に対して税制上の優遇措置を与える「雇用促進税制」が創設される。優遇措置は、雇用保険の一般被保険者の純増人数に対して、1人当たり20万円を乗じた額を、法人税額の10%(中小企業の場合は20%)を限度に税額控除する。2011年4月1日から2014年3月31日までの間に開始する各事業年度について適用する。

 適用要件は、(1)雇用の増加、(2)事業主都合による離職者がいないこと、(3)支払給与額の増加、の3つ。雇用の増加は、事業年度末時点の雇用保険の一般被保険者数が、前事業年度末時点より10%以上かつ5人(中小企業は2人)以上増加していること。従業員数の増加は、各地の公共職業安定所(ハローワーク)が確認する。週20時間以上の勤務などで雇用保険に加入しているパートやアルバイトも対象となる。

 事業主都合での離職者がいないことは、前年度末に事業主都合で従業員を解雇し、見かけ上の雇用者数を増やすような不適切な操作を防ぐためだ。また、支払給与額増加要件を設けたのは、雇用促進税制が、正規から非正規に切り替えて、労働条件を低下させた上で雇用者数だけを増やしたり、事業年度末に駆け込みで非正規労働者を雇用する誘因になりかねないことを抑止し、雇用の質を維持した雇用増を図ることが狙いだ。

 具体的には、支払給与額が、前事業年度の支払給与額よりも、「給与増加額≧前事業年度の給与額×雇用者増加率×30%(60%×50%)」の算式で算定された額以上に増加しなければ適用を受けられない。算定の基礎となる支払給与額からは、役員給与、役員の親族等に支給する給与及び退職給与の額は除外する。また、関連会社から一時的に出向者を受け入れ、出向元から支払いを受けた給与なども除外する。

 要件の確認のための具体的な手続きは、まず企業は、事業年度開始後2ヵ月以内に、目標の雇用増加数等を記載した雇用促進計画を作成し、ハローワークに届け出る。次に、事業年度終了後2ヵ月以内に、ハローワークより雇用促進計画について確認を受ける。ハローワークによって確認を受け、交付される雇用促進計画等の書類を税務署に提出する法人税確定申告書に添付することによって、適用が可能となる。

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