2011年01月06日-2
原則、税務調査を行う場合はあらかじめ事前通知

 2011年度税制改正では、税務調査の事前通知について、調査手続の透明性と納税者の予見可能性を高めるため、原則、税務調査を行う場合は、あらかじめ事前通知を行う等の明確化・法制化を図る。ただし、(1)正確な事実の把握を困難にする、(2)違法もしくは不当な行為を容易にし、またはその発見を困難にする、(3)その他国税に関する調査の適正な遂行に支障を及ぼす、などのおそれがあると認められる場合は、事前通知を行わない。

 事前通知の対象者は、納税者本人、調書提出者及び税理士などの代理人、反面先とする。通知内容は、調査の開始日時・場所、調査の目的、調査対象税目と課税期間、調査の対象となる帳簿書類その他の物件のほか、その他の必要事項として、調査の開始日時・場所の変更の申出に関する事項や、調査状況に応じ、通知内容以外について非違が疑われる場合には、その通知内容以外の事項についても調査対象になりうること、などがある。

 通知方法は、原則として、文書で事前に行う。反面調査については、反面先には、調査対象者(納税者)の名称及び確認対象取引は通知しない。また、調査対象本人には通知しない。ただし、調査の相手方の同意がある場合には、例外的に調査当日に文書を交付することができる。事前通知を行わない例外事由に該当する場合は、調査着手後、終了時までに前記の通知事項(日時・場所の記載を除く)を記載した文書を交付する。

 調査終了時の手続についても、課税庁の納税者に対する説明責任を強化するため、明確化・法制化を図る。例えば、実地の調査により更正・決定等すべきと認められる場合には、課税庁の職員は、その納税者に対し、調査結果(非違の内容、金額、理由)、及び「修正申告または期限後申告を行った場合にはその部分について不服申立てができないこと」などを説明することや、これらの説明を簡潔に記載した税務署長名の文書を交付する。

 また、税務署長等は、納税者から修正申告書または期限後申告書の提出があった場合や、更正・決定等するときは、その納税者に対し、その調査が終了した旨の通知書を交付する。一方、実地の調査終了後、更正・決定等すべきと認められない納税者に対しては、「その時点で更正・決定等すべきと認められない」旨を記載した通知書を交付する。これらの改正は、2012年1月1日以降に新たに納税者に対して開始する調査等について適用する。

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