2010年12月27日-2
税制改革と社会保障の一体的見直しが重要との提言

 社会保障改革に関する有識者検討会の報告書が12月10日に公表された。それを受けて、政府・与党社会保障改革検討本部での検討を経て、「社会保障改革の推進について」(12月14日閣議決定)、「2011年度税制改正大綱」(12月16日閣議決定)では、民主党政権の社会保障改革の方向性が見えはじめてきたなかで、第一生命経済研究所は、「求められる景気に左右されない社会保障改革」と題するレポートを掲載している。

 同レポートによると、「社会保障改革の推進について」では、社会保障改革に関する基本方針として「社会保障の機能強化」と「財政の健全化」の同時達成が不可欠であり、それが生活の安定を通じて雇用・消費の拡大、経済成長につながるという考えを示している。この基本的な方向性は、民主党「税と社会保障の抜本改革調査会中間整理」や社会保障改革に関する有識者検討会報告に基づくものとされている。

 このような社会保障改革の推進の方針決定には、経済環境の変化が深く関連している。自民党政権下において、基礎的財政収支の黒字化や社会保障の持続可能性確保がうたわれた背景には、2002 年以降の景気拡張局面における雇用環境の改善と税収回復があった。こうした経済環境下では、財源を明示しなくともなんとか財政再建と持続可能な社会保障の構築を同時に目標とすることができたといえる。

 しかし、現在の日本経済は、社会保障の機能拡充とともに財政再建という二律背反を同時に克服しなければならない状況に迫られている。そのためには、消費税率の引上げなど税制改革による財源拡充は避けて通れず、財政再建と一体となった社会保障改革を実行しなければならない。税制・財政改革と併せ、速やかに、より踏み込んだ具体的な政策を明示し、実行する必要がある、としている。

 同レポートの全文は↓
 http://group.dai-ichi-life.co.jp/dlri/rashinban_index.html

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