2010年12月24日-2
更正の請求期間を5年に延長、範囲も拡大

 2011年度税制改正において、更正の請求の期間を現行の1年から5年に延長し、更正の請求を認める範囲も拡大する。更正の請求とは、申告書の提出期限後や還付金を受け取った後に、記載内容に誤りがあることに気がついたときで、税額が実際より多すぎた場合や還付金が少なすぎた場合には、税務署に訂正を求めることができる制度。この更正の請求ができる期間は、現行は原則法定の申告期限から1年以内とされている。

 1年を過ぎてしまっても、職権での減額更正をお願いするという「嘆願」という方法があるが、これは法的な制度ではないので必ず減額更正される保証はない。一方で、税務署が増額更正できる期間は3年とされており、嘆願という不透明な実務を解消させ、納税者の救済と課税のバランスを図る観点から、更正の請求期間を5年に延長するとともに、併せて、税務署が増額更正できる期間も3年から5年に延長する。

 これにより、基本的には、納税者による修正申告・更正の請求、税務署による増額更正・減額更正の期間制限がすべて同じになる。法人税については、納税者による修正申告期間は5年、更正の請求期間は1年、税務署による増額更正期間・減額更正期間はともに5年とされているが、これに係る更正の請求期間を5年に延長する。また、贈与税等では、修正申告6年、増額更正・減額更正6年とされていることから、6年に延長する。

 他方、更正の請求によっては事後的に当初申告にさかのぼってその措置を適用することが認められていない「当初申告要件」がある措置を見直し、更正の請求範囲を拡大する。現行、当初申告要件がある措置について、(1)インセンティブ措置(設備投資に係る減価償却など)、(2)利用するかしないかで、有利にも不利にもなる操作可能な措置(各種引当金など)のいずれにも該当しない措置については、「当初申告要件」を廃止する。

 当初申告要件を廃止する主な措置では、給与所得者の特定支出控除や法人税の所得税額控除などがある。また、控除等の金額は当初申告の際に記載された金額に限定される「控除額の制限」がある措置については、更正の請求により、適正に計算された正当額まで当初申告時の控除額を増額させることを可能にする。見直しの対象となる主な措置では、法人税の所得税額控除などがある。

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