2010年12月20日-3
11年度税制改正大綱、法人実効税率5%引下げ決定

 政府は16日、2011年度税制改正大綱を閣議決定し公表した。柱は国際競争力を高めるための法人税率の軽減だが、国税・地方税を合わせた法人実効税率を5%引き下げることで決着がついた。国税は法人の基本税率を現行の30%から25.5%に引き下げ、地方税は法人住民税の実効税率を0.87%引き下げる。また、中小法人の軽減税率について、特例による税率を15%(現行18%)に、本則税率を19%(同22%)に引き下げる。

 一方で、法人実効税率5%引下げに必要な財源約1兆5000億円を賄うため、法人課税、個人所得課税、資産課税は全体的に増税色の濃いものとなった。法人課税では、欠損金の繰越控除制度について、中小法人を除き、控除限度額をその年度の繰越控除前の所得金額の80%に制限し、これに伴い、繰越控除期間を9年(現行7年)に延長する。貸倒引当金の適用法人も、銀行や保険会社、中小法人などに限定する。

 個人所得課税では、給与所得控除について、給与収入1500万円超で上限を設け、同4000万円を超える法人役員は控除額の2分の1の額を上限とし、2000万円から4000万円までの間は徐々に控除額を縮減する。退職金については、勤続年数5年以下の法人役員は2分の1課税を廃止する。成年扶養控除については、障害者や65歳以上の高齢者、学生を対象とする以外は、合計所得400万円以上の納税者には適用しない。

 資産課税では、相続税の基礎控除を「3000万円(現行5000万円)+600万円(同1000万円)×法定相続人数」に引き下げる。税率構造については、最高税率を55%(同50%)に引き上げ、税率区分を現行の6段階から8段階とする。死亡保険金に係る非課税枠については、500万円に乗ずる法定相続人を、未成年者、障害者、相続開始直前に被相続人と生計を一にしていた者に限定する。

 ただし贈与税については、若年世代への早期資産移転を促進するため、暦年課税について、20歳以上の子や孫を受贈者とする贈与税の税率構造を緩和する。相続時精算課税制度も、受贈者に20歳以上の孫を追加するとともに、贈与者の年齢要件を60歳以上に引き上げる。そのほか、金融証券税制では、上場株式の配当・譲渡等に係る10%軽減税率の適用時期を2年延長し、2014年1月から20%本則税率に戻ることになった。

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