2010年12月20日-2
中小法人の軽減税率を15%に引下げ~税制改正大綱

 2011年度税制改正大綱が16日、閣議決定され公表された。改正の柱は、国税・地方税を合わせた法人実効税率の5%程度引下げや、個人所得課税・資産課税の大幅な見直しだが、中小企業税制では、中小法人の軽減税率について、現行の特例による税率を3年間の措置として18%から15%に引き下げるとともに、現行の本則税率を22%から19%に引き下げる。適用は、法人の2011年4月1日以後に開始する事業年度からだ。

 中小法人の軽減税率の引下げに伴い、中小企業等基盤強化税制を廃止するほか、法人実効税率引下げの財源確保の一環として、減価償却制度の見直しがある。現行の減価償却資産の定率法の償却率は、定額法の償却率(1/耐用年数)を2.5倍した数、つまり1年目で取得価額の25%を償却できるが、これを2.0倍した数、20%に圧縮する。適用は、2011年4月1日以後に取得する減価償却資産からとなる。

 財源の絡みでは欠損金の繰越控除制度の見直しがあり、控除限度額をその事業年度の繰越控除前の所得金額の80%に制限し、欠損金の繰越期間を9年(現行7年)に延長するが、中小法人は現行の控除限度額を認める。また、貸倒引当金制度は、銀行や保険会社、中小法人に限定されるので、中小企業に影響はない。ただ、研究開発減税は、研究開発費の税額控除の限度額が法人税額の30%から20%に圧縮し、延長しないことが決まっている。

 ほかでは、雇用促進税制や環境関連投資促進税制の創設がある。雇用促進税制は、その年度中に従業員のうち雇用保険一般被保険者の数を10%以上かつ5人以上(中小企業者等は2人以上)増加させるなどの要件を満たす法人について、増加1人あたり20万円の税額控除ができる。ただし、当期の法人税額の10%(同20%)が限度。適用は、2011年4月1日から2014年3月31日までの間に開始する各事業年度となる。

 また、環境関連投資促進税制は、エネルギー起源CO2排出削減等に効果が見込まれる設備等に関する特別償却制度(取得価額の30%、中小企業者等は取得価額の7%の税額控除との選択)だ。ただし、税額控除については当期の法人税額の20%を限度とし、控除限度超過額については1年間の繰越しができる。適用は、2011年4月1日から2014年3月31日までの間に取得した対象設備等を1年以内に国内の事業に使用した場合となる。

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