2010年12月20日-1
税制改正での2011・12年の家計への影響をレポート

 2011年度税制改正大綱が16日決まったが、ニッセイ基礎研究所は、個人所得課税における税制・社会保障制度の改正が2011・12年の家計に対してどのような影響を及ぼすかに焦点を当て、世帯・年収別に検討したレポートを発表した。個人所得課税を巡っては、基本的には昨年度税制改正の方向性が維持され、所得再分配機能の回復や所得控除から手当へといった考え方の下、所得控除の一部において見直しが適用されることとなった。

 レポートは、試算の前提となる世帯について、制度改正の影響をもっとも強く受けると思われる専業主婦世帯(妻、子ども2人)を想定し、子どもの年齢により、ケース1(1歳、4歳)、ケース2(13歳、10歳)、ケース3(17歳、13歳)の3パターンに分け検証した。その結果、制度改正が2011年の家計の可処分所得に及ぼす影響について、ケース1では、年収800万円層と1500万円以上層を除く年収層で可処分所得が増加した。

 ケース2では、年収700万円以下の層で可処分所得が増加する一方、年収800万円層以上の層では横ばいないし減少となった。ケース3では、年収700万円以下の層で可処分所得が増加する一方、年収800万円以上の層では減少した。2011年から12年にかけても、3つのケースに分けて試算すると、いずれのケースにおいても全年収層で可処分所得が前年と比べ減少しており、特に年収1800万円層で減少幅が拡大することが確認されている。

 また、2009年の可処分所得を基準とし、2010、11年度の制度改正の影響が最終的に反映される2013年までの可処分所得の推移について年収別に確認すると、2010、11年度の制度改正が低所得層の可処分所得を若干増加させる一方で、高所得層の可処分所得を大幅に減少させていることが示された。同研究所は、「高所得層に負担増を強いるばかりでは、経済そのものの活力を削ぎかねず、今後は慎重な対応が求められる」としている。

 同レポートの全文は↓
 http://www.nli-research.co.jp/report/econo_report/2010/ke1002.pdf

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