2010年12月16日-2
相続税の基礎控除を圧縮、贈与税の税率構造を緩和

 2011年度税制改正における資産課税の見直しでは、相続税の最高税率を55%に引き上げ、基礎控除を圧縮するなどの増税となる。相続税の税率構造について、最高税率を55%(現行50%)に引き上げ、税率区分を現行の6段階から8段階にする。また、基礎控除について、定額控除を3000万円(同5000万円)に、法定相続人1人あたりの比例控除額を600万円(同1000万円)にそれぞれ引き下げる。

 死亡保険金の相続税の非課税枠についても、現行では法定相続人1人あたり500万円だが、非課税枠を利用できる対象を法定相続人のうち、未成年者、障害者、相続直前に被相続人と生計を一にしていた者に限定し、同居していない法定相続人は除外する。こうした見直しに伴い、未成年者控除(現行:20歳までの1年につき6万円)及び障害者控除(同:85歳までの1年につき6万円)について、ともに控除額を10万円に引き上げる。

 一方、贈与税については、若年世代への早期資産移転をより一層促進するため、20歳以上の子や孫への贈与を対象に税率構造を緩和する。最高税率は4500万円超で55%(現行1000万円超で50%)に引き上げるが、税率区分を現行の6段階から8段階にし、3000万円以下の贈与は税率が引き下げられる(200万円以下は同じ)。それ以外の贈与を対象とした税率構造も、税率区分が8段階となり、1000万円を超える贈与が細分化される。

 さらに、親子間の生前贈与を促す相続時精算課税制度についても、(1)受贈者の範囲に、20歳以上の孫(現行:推定相続人のみ)を加え、(2)贈与者の年齢要件を60歳以上(同:65歳以上)に引き下げるなど、適用要件を拡充する。これらの見直しについての適用時期については、相続税及び贈与税は2011年4月1日以後から、相続時精算課税制度は2011年1月1日以後からとなる。

ウィンドウを閉じる