2010年12月13日-2
専門家委員会が「議論の中間報告」を税調に報告

 税制調査会専門家委員会(委員長:神野直彦東大名誉教授)は9日の税制調査会に「『税目ごとの論点の深堀り』に関する議論の中間報告」を行った。「成長と雇用の実現、社会保障とその財源確保といった我が国の喫緊の課題に対応するためにも、税制の抜本的な改革は待ったなし」とし、税調において、政府・与党の取組みと連携し、同委員会の議論の成果を取り込みながら、税制抜本改革のビジョン策定作業を進めることを期待している。

 個人所得課税では、高所得者に有利になっている所得控除の見直しなどによる課税ベースの拡大や、税率構造の見直しの必要性と、金融証券税制について、個人金融資産を有効に活用する金融所得一体化に向けた取組みを進め、20%本則課税の実現を訴えている。また、地域主権改革を進めていく観点から、地方税源の充実が必要で、そのための方策の一つとして個人住民税の充実強化を検討することは、消費税と並ぶ重要課題とした。

 資産課税では、相続税の基礎控除の水準調整による適切な税負担の実現を図り、高齢者が保有する資産をより早く次世代に移転させ、経済社会の活性化を目指す。消費課税では、社会保障制度全般を支える財源を確保するための税制改革が急務であり、社会で広く負担を分かち合う消費税の役割は益々重要で、今後、消費税の充実を期していく上では、消費税制度の信頼を確保していくため、一層の課税の適正化が求められるとしている。

 法人課税では、当面する税制改正に当たっては、課税ベースを拡大しつつ法人実効税率を引き下げる選択肢と、政策税制措置の重点化を行う選択肢があり、前者については税制の簡素化等が図られ、雇用確保につながる労働集約型・知識集約型の産業等にも公平な税制度となる等の意見があり、後者については、限られた資源を成長戦略分野に集中することにより、短期的・直接的な効果が期待できる、としている。

 同中間報告の全文は↓
 http://www.cao.go.jp/zei-cho/gijiroku/pdf/22zen19kai2.pdf

ウィンドウを閉じる