2010年12月13日-1
香港特別行政区との仲裁手続に係る実施取決め締結

 国税庁は7日、我が国と中華人民共和国香港特別行政区の税務当局間で、「仲裁手続の実施のための取決め」(所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府と中華人民共和国香港特別行政区政府との間の協定第二十四条51に係る実施取決め)が締結されたことを明らかにした。2010年11月9日に香港で署名された協定に基づき、仲裁手続の実施方法を定めたもの。

 仲裁手続きとは、相互協議事案が協議の開始から2年を経過しても当局間の解決に至らない場合に、納税者の要請により、独立した3名の仲裁人により構成される仲裁委員会の決定(仲裁決定)を求める手続で、納税者が仲裁決定を受け入れない場合を除き、その決定に従った相互協議の合意が行われることとなる。これにより、相互協議を通じた事案の解決がより確実なものとなり、相互協議の実効性が高まることが期待される。

 実施取決めでは、(1)事案の仲裁への付託の要請、(2)事案を仲裁に付託する時期、(3)付託事項、(4)付託事項の不通知、(5)仲裁人の専任、(6)仲裁人の資格及び任命、(7)情報の通信と秘密保持、(8)適時の情報提供が行われなかった場合及び相互協議の中断があった場合、(9)手続上及び証拠上の規則、(10)仲裁の要請を行った者の参加、(11)実施準備、(12)費用、(13)適用される法原則、(14)仲裁決定、等19項目が定められている。

 移転価格税制等について、相互協議の申立てが行われた事案が仲裁手続の対象となり、事前確認に係る相互協議の申立ては対象とならない。なお、日・香港租税協定が適用される課税年度(法人税の場合には、同租税協定が効力を生ずる年の翌年の1月1日以後に開始する事業年度)前の課税年度に係る課税については、同租税協定第二十四条1の規定に基づき相互協議の申立てを行うことができないため、仲裁手続の対象とはならない。

 同実施取決めの全文(仮訳)は↓
 http://www.nta.go.jp/sonota/kokusai/kokusai-sonota/1011/02.pdf

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