2010年12月06日-1
全国一律の新築住宅特例はインセンティブにならず

 税制調査会(会長:野田佳彦財務相)は1日、関税関係、資産課税(地方税)、市民公益税制の検討を行ったが、資産課税(地方税関係)では「新築住宅に係る減額措置」を、総務省提出資料を基にその効果等を検討した。同減額措置は、今年度税制改正において、今後1年間で優良な住宅ストック重視の観点から見直しを検討していくことを条件に、適用期限を2年延長している。2008年度概要調書では、減収額は1540億円。

 同減額措置は、居住部分の床面積が50平方メートル(戸建以外の貸家住宅の場合は40平方メートル)以上280平方メートル以下(床面積要件)、居住部分の床面積が当該家屋の床面積の2分の1以上(居住割合要件)を満たせば、一般の住宅は3年度分、3階以上で耐火構造の住宅は5年度分について固定資産税が2分の1に軽減される(居住部分に係る床面積で、120平方メートルが限度)。

 総務省が2009年10月に、特例の適用を受けることが見込まれる納税者(有効回答1660人)に対して家屋評価時に行ったアンケートでは、新築(購入)した翌年から3年間、固定資産税が半分になることを、「内容(3年間税額が半分になる)まで知っていた」が16%、「聞いたことはあるが、内容まではよく知らなかった」が30%、「全く知らなかった」が54%だった。また、減額措置が新築の「きっかけになった」のは、わずか8%だった。

 こうしたことから、(1)新築住宅に係る減額措置は新築(購入)の際のインセンティブになっていない、(2)住宅をめぐる状況は地域によって様々であり、地方団体においては、規制や補助金、税制などにより、地域の特性に応じた独自の取組みを行っている、(3)新築住宅等に係る減額措置については、全国一律の措置ではなく、各地方団体の自由度を高める方向で、見直すべきではないか、との見直しの方向性が示されている。

 1日の税制調査会資料は↓
 http://www.cao.go.jp/zei-cho/gijiroku/22zen15kai.html

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