2010年12月02日-1
行政救済制度検討チームが審理官制度創設を議論

 政府の行政救済制度検討チーム(座長:片山善博総務相、蓮舫行政刷新相)の第3回会合が11月29日に行われ、「審理官制度の創設及び審理請求人の補助体制の整備」を検討した。行政不服審査法の改正の方向性で「柔軟で実効性のある救済」の観点を明らかにし、それとの調和を保ちつつ「公正性」への配慮についても規定する、という命題の中で、申立人の申立趣旨に即した権利救済を実現するため、審理官制度創設の必要性が議論された。

 審理官制度の創設の意義及び期待される役割について、「対象となる処分に関与した職員が審理担当者となることも行審法上は否定されていないから、公正性の希薄さが指摘されてきた。そこで、審理官制度の導入により、公正性にも配慮した手続きが実現可能となるのではないか」、「審理官が行政内部の基準にとらわれず、法令と良心にのみ拘束されて不服申立事件に対処することで、より柔軟で実効性のある解決を促進できる」としている。

 このため、審理官の任用条件として、(1)審理手続きを行う者として、処分に関与していないなど一定の要件を充足する「審理官」を審理庁となる行政庁に置くものとする、(2)審理官の任用においては、行政に関する高度の専門的な知識と十分な経験を有する者を活用するものとする、とし、審理手続きの公正性を高める観点からは、外部人材の登用も含めた任用を可能とすることが適当としている。

 さらに、審理官は、独立して職権を行使する職として規定し、身分保障に関する規定を設ける。通達・内部基準に拘束されない審理官が処分を取り消すとともに、関係行政庁への拘束力を有する裁決の案となる裁決意見書を自らの名において作成することを踏まえれば、審査請求の処理により不利益な扱いを受けないことについて強い要請があることを理由に、身分保障を規定する必要性が生じるもので、重要なキーとなるとしている。

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