2010年11月29日-2
2009事務年度の相互協議事案は過去最多の183件

 国税庁が24日に発表した2009事務年度の相互協議を伴う事前確認の状況によると、今年6月までの1年間に発生した相互協議事案は、過去最多の183件(前年度174件)発生し、うち事前確認に係るものも過去最多の149件に達した。相互協議事案の発生件数は増加傾向にあるが、全体の9割以上を移転価格に関するものが占めており、近年はそのなかでも事前確認に係る事案が全体の約7割を占める状態が続いている。

 移転価格税制は、法人と関連企業(国外関連者)との取引が第三者間の取引価格(独立企業間価格)と異なる場合、その取引価格を正常な価格に引きなおして課税する制度だが、相互協議は、移転価格課税における二重課税を防ぐため、国税庁が外国の税務当局と交渉するもの。また、事前確認とは、納税者が税務当局に事前に申し出た独立企業間価格の算定方法を税務当局が確認した場合には、移転価格課税は行わないという制度だ。

 2009事務年度において発生した183件の相互協議事案のうち、移転価格に関するものは前年度から16件増の176件、このうち「事前確認」に係るものが同19件増の149件と過去最多。10年前の1999事務年度と比べると、相互協議件数は約3倍、事前確認に係る相互協議件数は約4倍と大幅に増加している。一方、2009事務年度に相互協議が終了したのは前年度より27件多い154件と、過去最高の処理件数だった前年度を上回った。

 このうち、相互協議を伴う事前確認の合意件数は105件だった。業種別にみると、「製造業」が57件、「卸売・小売業」が29件となっている。対象取引別にみると、「棚卸取引」が79件、「役務提供取引」が45件、「無形資産取引」が39件。また、10年度に繰り越した件数も前年度より29件増の380件にのぼり、こちらも過去最多。なお、1件あたりの処理期間は、事案の性質によって大きく異なるが、平均すると24.7ヵ月となっている。

 相互協議を伴う事前確認については、これまで米国及び豪州の事案が大半を占めていたが、昨今は、アジア諸国等の事前確認も増加してきている。ちなみに、米国は2001事務年度の18件から2009事務年度は47件に増加したが、アジア・大洋州は同5件から35件と大幅に増加。今後も、こうした国との間の事前確認事案がさらに増加していくと予想される。相互協議を伴う事前確認の相手国数も10年前の6ヵ国から18ヵ国に増加している。

 「相互協議を伴う事前確認の状況」の詳細は↓
 http://www.nta.go.jp/kohyo/press/press/2010/sogo_kyogi/pdf/01.pdf

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