2010年11月29日-1
給与所得控除や退職所得の見直し案提示~政府税調

 2011年度税制改正では給与所得控除や退職所得など個人所得課税の見直しが焦点のひとつとなっているが、政府税制調査会は25日、その見直し案を示し、本格的検討に入った。給与所得控除については、給与所得者の必要経費が収入の増加に応じて必ずしも増加するとは考えられないことなどから、一定額を上回る給与所得者については、給与所得控除に上限を設け、過大となっている控除を適正化し、一定の負担を求める。

 一定額を上回る水準については、株式会社の平均役員報酬が、資本金1億円以上の場合は1206万円、10億円以上の場合は1655万円であることを参考にする。これを前提とした上限の見直し案として、(1)1200万円(給与所得控除額230万円、120万人程度が影響)、(2)1500万円(同245万円、50万人程度が影響)、(3)1800万円(同260万円、30万人程度が影響)、の3案を提示した。

 また、高額給与の役員については、給与所得控除のうち「勤務費用の概算控除」部分が2分の1であることを前提に、一般の給与所得控除の上限の1/2を上限とする見直し案も示した。役員(一人オーナーも含む)については、給与の自己決定度合いも高いと考えられるため、給与所得控除に「他の所得との負担調整」部分は含まれないとの考え方だ。高額給与の水準は、資本金10億円以上の平均役員報酬(1655万円)を参考にする。

 退職所得については、累進緩和措置(2分の1課税)が採られているが、法人役員が短期で退職慰労金を受け取る場合、その対象とする合理性は乏しいことから、平均在任期間が7年程度であることや、退職金と同じく2分の1課税が採用されている譲渡所得については、「5年以下」の短期譲渡所得については2分の1の適用がないこと、を参考にして、役員の退職慰労金について、2分の1課税を見直すことを提案している。

 個人所得課税の資料は↓
 http://www.cao.go.jp/zei-cho/gijiroku/pdf/22zen13kai1.pdf

ウィンドウを閉じる