2010年11月24日-2
公益法人の申告漏れ所得は約14%増の186億円

 国税庁が発表した2009事務年度における公益法人等の課税事績によると、公益法人等に対する実地調査は、今年6月までの1年間に1361件(前年度比4.1%増)に対して行われ、うち922件(同6.8%増)から前年度に比べ13.6%増の総額185億6300万円の申告漏れ所得が把握され、本税額12億9500万円(同29.8%減)が追徴された。調査1件あたりの申告漏れ所得は1364万円(同9.2%増)となる。

 仮装、隠ぺいによる不正計算があったものは68件で、不正発見割合は5.0%、不正脱漏所得金額は2億8300万円、1件あたりの不正脱漏所得は416万円だった。調査状況を組織区分別にみると、不正発見割合は「宗教法人」(7.1%)、「学校法人」(4.9%)が高く、また、調査1件あたりの申告漏れ所得金額は「学校法人」(2225万円)、不正申告1件あたりの不正脱漏所得金額では「社会福祉法人」(839万円)がそれぞれもっとも多い。

 公益法人等については、税の優遇措置が設けられており、社会的関心も高いことなどから、国税庁では、事業規模が大きいなど調査必要度が高い法人を中心に、的確かつ効率的な調査に取り組んでいる。その結果、事業規模が大きい法人に対する調査件数は591件となっており、実地調査件数1361件全体の約43%を占め、収益事業に係る収入計上漏れなど、申告漏れ所得金額は135億円となっている。

 調査事例をみると、書籍に販売による収入を除外していた学校法人のケースがある。同法人について調査を実施したところ、書籍の販売により得た現金収入を除外し、除外した現金は事務所内の金庫に現金管理されていたほか、理事長の個人的な費用に充てられていた。

 なお、2009事務年度における公益法人等の法人税の処理件数は、前年度から0.4%増とほぼ横ばいの3万3123件だった。内訳は、「宗教法人」が1万3021件(前年度比0.1%増)、「財団・社団法人」が1万1153件(同1.4%減)、「社会福祉法人」が1503件(同6.6%増)、「学校法人」が2094件(同1.9%増)など。また、給与所得の源泉徴収義務者は、「宗教法人」5万913件など、前年度比0.8%増の16万525件だった。

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