2010年11月22日-1
一定額以下の年金所得者の申告不要制度などを検討

 税制調査会(会長:野田佳彦財務相)は16日、2011年度税制改正において、関係機関から要望されていない項目で、納税者の立場に立つとともに、適正な課税を推進するために必要とされる項目を検討した。そのなかで、年金収入及び年金以外の所得が一定額以下の者の申告手続きの簡素化や、申告義務のある者の還付申告書の提出期間の見直しなどが検討項目として挙げられている。

 年金所得者は年末調整制度がないので、確定申告により税額の計算を行う必要があり、事務負担となっている。そこで、年金所得者の申告手続きの簡素化及び給与所得者との手続きのバランスの観点から、年金収入及び年金以外の所得が一定額以下の者について確定申告を不要とする制度の創設を検討する。また、年金所得者に係る源泉徴収税額の計算において控除対象とされている人的控除に加え、新たに寡婦(夫)控除を追加する。

 一方、申告義務のある者の還付申告書の提出期限の見直しでは、所得税の確定申告書の提出期間が納付申告・還付申告のいずれも翌年の2月16日から3月15日までと定められているが、還付申告については、還付金の早期還付等の納税者利便の観点から、その提出期間の始期を翌年1月1日とすることも検討課題だ。還付申告については、実際上は1月から申告を受け付けており、これを法定化することになる。

 そのほか、(1)事務所等の移転があった場合の源泉所得税の納税地の見直し、(2)法定調書の光ディスク等による提出義務の創設、(3)金地金等の譲渡の対価の支払調書制度の創設、(4)一時所得の計算上控除する保険料の明確化、(5)棚卸資産の切放し低価法の廃止、(6)消費税における免税事業者の要件の厳格化、(7)仕入税額控除制度におけるいわゆる「95%ルール」の見直し、などが検討項目として挙げられている。

 消費税における免税事業者の要件の厳格化では、現行制度では、課税売上高が1千万円を超えた場合に翌々期から課税事業者となるが、こうした制度を悪用した法人の新設等による課税逃れを抑制する観点から、課税売上高が1千万円を超えることが期の途中で明らかとなった場合には、翌期から課税事業者となるよう免税事業者の要件を厳格化することが検討される。

 この件の詳細は↓
 http://www.cao.go.jp/zei-cho/gijiroku/22zen10kai.html

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