2010年11月18日-2
社会保障の現状と課題で2回目の有識者ヒアリング

 民主党の税と社会保障の抜本改革調査会(藤井裕久会長)の第9回勉強会が11月15日に行われ、「社会保障の現状と課題」について、2回目の有識者ヒアリングが行われた。同勉強会においては、北海道大学大学院法学研究科の宮本太郎教授が「翼の保障」と題する社会保障改革案を披露した。抜本改革で求められる「強い経済」、「強い財政」と連携する「強い社会保障」の必要性を語った。

 現在の社会保障制度は、高度経済成長期であった1960~1970年代にその骨格が完成しているため、制度設計とその前提について、(1)正規雇用・終身雇用・完全雇用~サラリーマンは職域保険に、その他の者は地域保険に加入することで皆保険・皆年金を達成、(2)右肩上がりの経済成長~給付の増大は、給与の上昇による保険料収入や税収増で賄う、(3)企業の福利厚生の充実、核家族モデル、地域社会のつながり、と指摘している。

 しかし、雇用基盤の変化(就労形態の多様化)や家族形態の変化(単身高齢世帯の増加、離婚の増加に伴うひとり親世帯の増加)、地域基盤の変化(都市化と過疎化の同時進行、地域コミュニティの弱体化、人口減少社会の到来)、生活・リスク形態の変化(社会的ストレスの増大、自殺、うつ等の増加)などにより、財源問題も含めた社会保障制度の一体的・抜本的な改革が必要となっている。

 宮本教授は、地域主権と「新しい公共」で「翼の保障」を提唱。一の橋は教育と雇用をつなげる橋~フリースクール、職業体験NPOなど。二の橋は家族と雇用をつなげる橋~ワーカーズコレクティブ、病児保育NPOなど。三の橋は技能や社会性をトレーニングし、仕事を紹介するための橋~ワイズ(労働統合型社会的企業)など。四の橋は加齢、体とこころとの弱まりに対処するための橋~高齢者生活協同組合など、を構築するとした。

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