2010年11月18日-1
会計検査院、税金の徴収漏れ約5億円を指摘

 会計検査院がこのほど公表した2009年度決算検査報告によると、各省庁や政府関係機関などの税金のムダ遣いや不正支出、経理処理の不適切などを指摘したのは986件、1兆7904億8354万円にのぼった。前年度に比べ、指摘件数は269件増え、指摘額(前年度2364億5000万円)では約7.6倍となり、過去最高となった。これは、独立行政法人の利益剰余金や国の特別会計について1兆円を優に超える指摘を行ったことが要因。

 財務省に対しては、税金の徴収額の過不足5億1588万円(前年度10億2466万円)が指摘された。113税務署において、納税者214人から税金を徴収するにあたり、徴収額不足が205事項、4億9440万円、徴収額過大が9事項2149万円だった。前年度は、131署において徴収不足が276事項、9億6789万円、徴収過大が17事項、5677万円だったので、徴収不足が約49%、徴収過大が約62%それぞれ減少したことになる。

 徴収が過不足だった219事項を税目別にみると、「法人税」が125事項(うち徴収過大4事項)でもっとも多く、以下、「申告所得税」56事項(同3事項)、「相続・贈与税」11事項(同2事項)、「消費税」9事項、「源泉所得税」4事項となっている。これらの徴収不足額や徴収過大額があった219事項については、会計検査院の指摘後、すべて徴収決定または支払決定の措置がとられている。

 そのほか、検査院の報告では、(1)中小企業者に適用される租税特別措置、(2)中小企業者に対する法人税率の特例、(3)法人税及び消費税の更正に基づく還付金に係る還付加算金、について財務省に対し意見を表示しまたは処置を要求している。(1)、(2)については、大企業の平均所得を上回る高所得の中小企業者について、税制上の特例の見直しを求めたもので、これを受け、政府税制調査会は2011年度税制改正の検討項目に盛り込む考えだ。

 また、(3)については、所得税の確定申告書の申告審理に当たり、各税務署で作成していた消費税還付申告者名簿を活用しなかったことから、全国34税務署の個人課税部門において、税込経理を行っている納税者43人に消費税の還付金等の収入があること及び消費税の還付金等が不動産所得等の総収入金額に算入されていないことの確認が不十分となり、8499万円が徴収不足となっていたとして改善させている。

 財務省に対し意見を表示しまたは処置を要求した事項の詳細は↓
 http://www.jbaudit.go.jp/report/summary21/iken06.html

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