2010年11月15日-4
検査院の指摘に基づき国税庁が徴収不足税額を回収

 個人事業者が収入、経費の各項目の金額に「税込経理」を行っている場合には、消費税の還付金は、還付を受けた年分の所得の計算上、総収入金額に算入することとされ、還付加算金は、雑所得の総収入金額に算入するが、会計検査院が34税務署を検査した結果、43人の納税者の不動産所得について消費税の還付金等を総所得金額に算入していなかったことが判明、検査院の要請に基づき国税庁が改善措置をとったことが明らかになった。

 検査院は、34税務署の個人課税部門では消費税還付申告者名簿を作成しており、この資料を課税資料として活用すれば、当該納税者43人に消費税の還付金等の収入があることや、消費税の還付金等が不動産所得等の総収入金額に算入されていないことは容易に確認できると指摘。34税務署において、消費税還付申告者名簿を課税資料として活用していなかったため、申告審理が適切に行われず、徴収不足税額は8499万円にのぼっていた。

 国税庁は本年6月、国税局等に通知を発するなどして、(1)消費税の還付金等が不動産所得等の総収入金額に算入されているかの確認を行うための課税資料として、消費税還付申告者名簿を活用する方法を定め、(2)消費税還付申告者名簿を課税資料として活用することにより、消費税の還付金等が不動産所得等の総収入金額に算入されているか確認して申告審理を適切に行うよう指示して周知徹底を図った、とした。

 さらに、納税者が税込経理を行っている場合の消費税の還付金等を不動産所得等の総収入金額に算入する必要があることについて、納税者に配布する手引に明記するとともに、税務署等において、説明会等を通して納税者等に対する周知を図ることとした。なお、会計検査院が2009年度決算検査報告に掲記した事項等の総件数は986件。指摘金額は計1兆7904億8354万円にのぼっている。

 この件の詳細は↓
 http://www.jbaudit.go.jp/report/summary21/pdf/fy21_zumi_05.pdf

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