2010年11月15日-1
法人の消費税不正還付で追徴税額177億円

 消費税は主要な税目の一つであり、預かり金的な性格を有するため、国民の関心が極めて高く、税収等の面でもその位置づけが高まっている。このような状況下、消費税について虚偽の申告により不正に還付金を得るケースが見受けられることから、企業に対する消費税調査はほとんどが法人税との同時調査だが、最近は、輸出企業を中心とした消費税単独の不正還付調査が増えている。

 これは、消費税法では商品の輸出や国際輸送、国際電話、国際郵便などの輸出取引に該当する場合、内国消費税である消費税は外国で消費されるものには課税しないという考えに基づき、消費税を免除していることを悪用し、虚偽の申告により不正に還付金を得るケースが見受けられるためだ。今年6月までの1年間(2009事務年度)においては、1万9件の消費税還付法人に対する調査が実施された。

 その結果、177億2600万円にのぼる消費税額を追徴した。また、そのうちの1012件は虚偽の申告により不正に還付を受けていたことも判明している。前事務年度と比べると、調査件数は10.6%、不正件数も13.1%それぞれ減少しているものの、調査による追徴税額は6.1%増加しており、国税当局が消費税不正還付に積極的に取り組んでいる効果がうかがえる。

 消費税不正還付の事例をみると、輸出取引について消費税が免税となる取扱い(輸出免税制度)を悪用し、国内取引を輸出取引に仮装するなどして不正に還付金を受け取るケースが見受けられたという。例えば、リサイクル業を営んでいたA法人は、帳簿等を改ざんし、国内売上を輸出免税売上に仮装する手口で消費税を不正に還付する申告を行っていたことが報告されている。

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