2010年11月10日-1
赤字法人調査で約12%の約7千件が黒字に転換

 今年6月までの1年間(2009事務年度)における法人の黒字申告割合は過去最低の25.5%となり、7割強の法人が赤字となった。ところが、このような状況に便乗して実際は黒字なのに赤字を装う企業が後を絶たない。2009事務年度中に法人税の実地調査をした13万9千件のうち約40%にあたる5万6千件は無所得申告法人の調査に充てられ、うち11.6%の約7千社が実際は黒字だったことが、国税庁のまとめで判明した。

 調査結果によると、実地調査した5万6千件のうち約70%にあたる3万9千件から総額1兆1772億円にのぼる申告漏れ所得金額を見つけ、加算税額を含む572億円の税額を追徴した。調査1件あたりの申告漏れ所得金額は2090万円となる。また、実施調査したうちの約4件に1件(23.8%)の1万3千件は仮装・隠ぺいなど故意に所得をごまかしており、その不正脱漏所得金額は1811億円にのぼった。

 2009事務年度の無所得申告法人調査は、前年度に比べ14.2%増の実地調査を行い、申告漏れ件数が135.2%の大幅増加、不正計算のあった件数も11.1%増となった。この結果、黒字となった法人が約7千社あったわけだが、調査で把握された1件あたりの申告漏れ所得2090万円は、前年度からほぼ倍増しており、法人全体の平均1474万円を大幅に上回る。不正申告1件あたりの不正脱漏所得金額は1351万円となっている。

 なお、2009事務年度は、事業を行っていると見込まれる無申告法人3418件(前年度比10.5%増)に対して調査を実施し、法人税について59億円(同0.7%減)、消費税についても43億円(同8.1%増)を追徴課税。そのうち295件(同20.9%増)は、借名口座を用いて利益を隠ぺいするなど意図的に無申告であった事案であり、法人税は30億円(同11.5%減)、消費税は9億円(同8.7%減)の追徴課税を行ったことが明らかになっている。

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