2010年11月08日-3
法人の申告漏れ総額、55%増の2兆493億円

 国税庁が4日に公表した今年6月までの1年間(2009事務年度)における法人税調査事績によると、不正計算が想定されるなど調査必要度の高い13万9千法人(前年度比4.5%減)を実地調査した結果、うち71.9%にあたる10万件(同6.0%減)から前年度に比べ54.6%増の総額2兆493億円の申告漏れを見つけた。加算税額504億円を含む3799億円(同16.1%増)を追徴。1件あたりの申告漏れは61.8%増の1474万円となる。

 実地調査件数はやや減少したが、申告漏れ総額は、1986事務年度(1兆2256億円)以来22年ぶりの低水準だった2008事務年度(1兆3255億円)から急増し、3年ぶりの増加となった。また、調査した21.0%にあたる2万9千件が故意に所得を仮装・隠ぺいするなどの不正を行っており、その不正脱漏所得は3.5%減の4047億円だった。1件あたりの不正脱漏所得は前年度比3.5%増の1385万円と2年連続で増加した。

 不正を業種別(調査件数350件以上)にみると、不正発見割合の高い10業種では、「バー・クラブ」が57.9%で8年連続のワースト1位となった。「バー・クラブ」は2000年度まで14年連続1位という不名誉な記録を続けていたワースト業種の常連(唯一2001年度がワースト2位)。次いでこれも常連の「パチンコ」(48.7%)が続き、この2業種は7年連続でワースト1、2位となっている。3位は「廃棄物処理」(35.0%)。

 一方、1件あたりの不正脱漏所得金額が大きい10業種では、1、2位はともに前年ランク外の「水運業」(9602万円)、「精密機械器具卸売」(4694万円)、3位は前年2位の「建売、土地売買」(4590万円)、4位は前年ランク外の「民生用電気機械器具電球製造」(4544万円)となった。不正発見割合でワースト1位の「バー・クラブ」は高額10業種に入っておらず、1件あたりの不正脱漏所得金額は1418万円と相対的に少ない。

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