2010年11月08日-2
無申告者の1人平均申告漏れは1543万円と高額

 無申告は、申告納税制度の下で自発的に納税をしている納税者に強い不公平感をもたらすことになるため、的確かつ厳格な対応が求められる。こうした無申告者は、その存在自体の把握が難しいことから、国税当局は、さらなる資料情報の収集や活用を図り、的確な課税処理に努めている。国税庁が今年6月までの1年間(2009事務年度)に実施した高額・悪質と見込まれた無申告者に対する実地調査は、前年度比6.4%減の8654件行われた。

 2009事務年度は実地調査全体(特別・一般)が約5万6440件行われているから、全体の約15%が無申告者に対する調査に充てられたことになる。無申告者の内訳は、個人事業者などの「営業等」に係るものが6269件と7割強を占め、「その他」が2385件で3割弱となっている。2009年度に行われた実地調査の結果、総額で所得税153億円(対前事務年度比10.5%減)、消費税52億円(同1.9%減)を追徴している。

 1件あたりの申告漏れ所得金額は、前事務年度の1573万円からはやや減少したものの1543万円と依然として高額であり、実地調査全体の1件あたり申告漏れ所得金額879万円を大きく上回っている。申告漏れ所得金額の総額は1335億円(前事務年度1454億円)にのぼる。こうした調査結果からいえることは、結構高額な所得がありながら、国税当局にはばれまいと高をくくっている納税者がいかに多いかということだ。

 例えば、会社員Aは、海外のサーバ管理会社と契約を結び、海外に設置されたサーバを一括して借り上げ、これを共用サーバとして分割して貸し付けることによって、多額の利益を得ていたが、給与所得者が副業として行っている事業については申告の必要がないと誤認し無申告だった。申告漏れ所得による資金は生活費に充てられていた。Aの申告漏れ所得は4200万円で、600万円の税額が追徴されている。

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