2010年11月08日-1
法人税率引下げ財源に欠損金の繰越控除の制限等浮上

 2011年度税制改正作業が急ピッチで進められているなか、法人税率の引下げが注目の的だが、税率を5%引き下げた場合(中小軽減税率の引下げ18%→11%を含む)の財源措置について、経済産業省と総務省が税制調査会に資料を提出した。それによると、所要財源は国税で2010年度法人税収(予算)約6兆円に対し1.4~2.1兆円が必要とした。その財源として租税特別措置の見直し、なかでも繰越欠損金の適用制限が浮上している。

 法人税率引下げの財源措置として、国税の場合、法人税法上の措置としては、減価償却制度の抜本的見直し、貸倒引当金・返品調製引当金の廃止・縮減、欠損金の繰越控除の制限、受取配当の益金不算入制度の見直しなど、措置法(法人関係)では、特別償却・割増償却(20措置)の廃止・縮減、研究開発税制の大幅縮減などのほか、揮発油税・石油石炭税のナフサ免税の見直しなどが俎上に乗っている。

 欠損金の繰越控除の制限は、近年の大幅な景気変動により課税ベースを大きく侵食し、適用が特定の業種・企業に偏っている(利益が出ているのに数年にわたり納税がない場合がある)との指摘もある。これを控除前所得の50%に制限すると4000~5000億円の増収が見込まれる。また、研究開発税制は2003年度に法人税率引下げを見送る一方で、大幅に拡充した経緯がある。この総額型を全廃した場合、2700~5100億円の増収が見込まれる。

 一方、地方税の財源措置をみると、地方税自体の見直しでは「法人住民税に係る税額控除の見直し」(増収見込0~100億円)、「固定資産税に係る特例措置(10項目)の見直し(電力、ガス、鉄道、公害防止用設備等)」(全廃の場合300億円)の増収に。また、国税の課税ベースの拡大等によるものとして、例えば、欠損金の繰越控除の制限で1800~2300億円、研究開発税制の大幅縮減で50億円の増収などが見込めるとしている。

 国税の財源措置の例は↓
 http://www.cao.go.jp/zei-cho/gijiroku/pdf/22zen7kai5.pdf

 地方税の財源措置の例は↓
 http://www.cao.go.jp/zei-cho/gijiroku/pdf/22zen7kai8.pdf

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