2010年11月04日-1
ネット取引調査で1件平均1109万円の申告漏れ把握

 オンラインショッピングやネット広告などインターネット取引はすっかり定着しており、なかには年間1億円を超す売上があるネット業者も珍しくない。しかし、多額の利益をあげながら、ネット上の売上は国税当局には把握されまいと考えて無申告・過少申告する業者が後を絶たない。ネット取引者は、無店舗による事業形態となるため、その把握は困難だが、国税当局は、あらゆる資料情報を収集・分析して適正な課税に努めている。

 今年6月までの1年間(2009事務年度)では、ネット取引を行っている個人事業者などを対象に前年度比15.2%減の2351件を実地調査した結果、同25%減の1件平均1109万円の申告漏れ所得金額が把握された。この申告漏れ額は、同時期の実地調査における特別調査・一般調査全体での1件平均879万円を大幅に上回る。ちなみに、2007事務年度の1440万円から2008事務年度は1137万円と年々減少しているが、依然として高額だ。

 調査件数2351件を取引区分別にみると、ホームページを開設し、消費者から直接受注するオンラインショッピングを行っている「ネット通販」が639件(1件あたり申告漏れ1012万円)、「ネットオークション」が546件(同1005万円)、「ネット広告」が437件(同1141万円)、「ネットトレード」が168件(同1183万円)、「コンテンツ配信」が41件(同1249万円)、出会い系サイトなど「その他のネット取引」が520件(同1277万円)だった。

 事例では、インターネット販売に係る所得を申告除外していた事業者Aのケースが報告されている。Aは寝具の小売を行っていたが、店舗での商品販売のほか、インターネットオークションにも出品。その売上については、家族従業員名義の預金口座で回収していたが、この売上のすべてを収入から除外して申告していた。Aに対しては、申告漏れ所得2300万円について400万円の税額が追徴されている。

ウィンドウを閉じる