2010年11月01日-2
法人税率5%下げで3年後に1.15兆円増収と試算

 税制調査会(会長:野田一夫財務相)の第5回総会が10月28日に行われ、経済産業省が法人税率を5%引き下げた場合の効果を「3年後には法人税収4800億円~6400億円、国税収入1.15兆円」とする試算を示した。同日は、地方団体との意見交換も行われ、全国知事会の石井隆一地方税制小委員会委員長、全国市長会の森民夫会長(新潟県長岡市長)、全国町村会の古木哲夫副会長(山口県和木町長)が出席した。

 経産省からのヒアリングで、同省が「法人税改革は、日本の立地競争力と企業の国際競争力に直結するものに重点化」として、(1)法人実効税率の国際的水準を目指した引下げ、(2)各国の動向を踏まえた、研究開発投資や先端分野への投資に対する強力な後押し、を掲げ、まずは法人税率を5%引き下げることを要望。その際、課税ベースの拡大を含め、財源確保に留意する、こととしたが、具体策は示していない。

 同省によると、法人税率の5%引下げで最大121万人(製造業で69万人)の雇用維持効果があり、GDP押上げ効果として、国内投資・回帰効果5.3兆円、海外移転抑制効果9.1兆円の計14.4兆円と試算している。さらに、中小企業の軽減税率(所得800万円までの部分)を18%から11%に引き下げた場合には、1000億円の国内投資、600億円の財務基盤強化が図られ、2200億円のGDP押上げ効果が生じるとの考えを示した。

 一方、地方税制改正関係のヒアリングにおいて全国市長会は、基礎自治体を重視した地域主権を確立するため、(1)地域主権の確立に向けた地方税体系の構築、(2)環境関連税制の導入及び自動車関係諸税の維持確保、(3)都市税源の充実強化、(4)課税・徴収体制の改善、地方税法の改正、を挙げた。また、今後の政府における消費税を含む税制抜本改革の検討においては、内閣が目指す『強い社会保障』の確立を目指すべきと、と主張した。

 各資料は↓
 http://www.cao.go.jp/zei-cho/gijiroku/22zen5kai.html

ウィンドウを閉じる