2010年10月28日-1
譲渡所得調査では2484億円の申告漏れを把握

 税務調査は年々、高額・悪質なものを選定して重点的に行われているのは周知のとおり。譲渡所得調査も、不動産等の売買情報など、あらゆる機会を利用して収集した各種資料情報を活用して、高額・悪質と見込まれるものを優先して行われる。国税庁のまとめによると、今年6月までの1年間(2009事務年度)の譲渡所得調査は5万3535件に対して行われ、うち62.6%にあたる3万3539件から2484億円の申告漏れを把握した。

 前年度に比べると、調査件数は23.2%減少、申告漏れ件数も26.2%減少し、申告漏れ所得金額は27.8%の大幅減少となった。申告漏れ割合は前年度(65.2%)からやや減少したが、調査した約3件に2件から申告漏れを見つけたことになる。調査1件あたりの申告漏れ額は464万円(前年度494万円)となるが、この額は、同事務年度の所得税調査における調査等で把握された1件あたり平均の申告漏れ額129万円を大きく上回る。

 調査の内訳をみると、株式等譲渡所得については、前年度比43.1%減の1万3758件の調査を実施。うち60.6%にあたる8344件(前年度比50.0%減)から総額475億円(同40.0%減)の申告漏れ所得を把握した。また、土地建物等については、前年度比12.7%減の3万9777件の調査を実施し、うち63.3%にあたる2万5195件(同12.4%減)から総額2009億円(同24.2%減)の申告漏れ所得を把握している。

 事例では、金地金及びプラチナの譲渡で得た所得を申告除外していた会社役員Aのケースがある。Aの配偶者の相続税調査において、A名義の預金通帳に貴金属取扱店からの多額な入金事績がある事実が把握された。調査の結果、Aは不動産所得や給与所得の確定申告を行っていたが、高額な金地金・プラチナの譲渡を行い、多額の利益を上げていたにもかかわらず、申告から除外していたことが判明している。

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