2010年10月18日-1
すでに課税されている中古品に係る消費税は非課税?

 すでに消費税を課されている中古品を販売する事業者、例えば古書店では、新刊の流通の時点で課税され、本来の消費がされた後の古書を仕入れて販売するから、すでに消費税が課されており、古書の販売には消費税がかからないと考えることはできないだろうか。また、古書の仕入れは消費者からの仕入れが大部分を占めることになるが、消費者からの仕入であっても消費税の仕入税額控除はできるのだろうか。

 消費税は、消費に対して課税することを前提とした税であり、生産から小売などの流通段階のすべての取引を課税対象とし、税の累積を排除するために前段階の税額を控除する仕組みとされている。前段階の取引には、消費者等からの仕入れも含まれることになる。国内取引に係る消費税の課税の対象は、国内において事業者が行った資産の譲渡等とされ、事業者とは、個人事業者及び法人とされており、法人はすべて事業者となる。

 資産の譲渡等とは、事業として対価を得て行われる資産の譲渡等とされ、古物であっても取引の対象となるものである限り消費税の課税対象になる。したがって、古書の販売は、消費税の課税対象となることになる。なお、消費税は資産の譲渡等に対して課税されるものだから、同一の商品であっても、それが譲渡の対象となる限り課税対象となるものであり、仕入税額控除の対象にもなるから、二重課税にはならないと考えられる。

 消費税では、税の累積を排除するため前段階の税額を控除することとしている。具体的には、課税事業者が国内において課税仕入れを行った場合には、課税標準額に対する消費税額から課税仕入れ等に係る消費税額を控除することとされている。消費税における税額控除の対象となる「課税仕入れ」とは、「事業者が、事業として他の者から資産を譲り受け、若しくは借り受け、または役務の提供を受けることをいう」こととされている。

 これを踏まえて古書の仕入れに当てはめると、仕入れの相手方が消費者であっても、その古書をその消費者が事業として譲渡した場合には課税対象になることは明らかだから、消費者からの古書の買入れであっても課税仕入れに該当する。したがって、古書店が消費者等から古書の買取りを行う場合には、消費税の仕入税額控除の対象になり、消費税の納付税額の計算に当たっては、買入価額の105分の4の金額が税額控除の対象となる。

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