2010年10月14日-2
規制緩和での酒類販売の利用者メリットは6160億円

 規制・制度改革による経済効果として酒類販売の場合、2005年度から2008年度にかけて6160億円の利用者メリットの増加を生んでいるとの推計結果が、内閣府がこのほど発表した規制・制度改革の経済効果で明らかになった。同経済効果は、規制・制度改革が、価格・料金の引下げなどを通じて利用者にもたらしたメリットが2005年度から2008年度にかけてどの程度増加したかを分析・推計したもの。

 分析対象としたのは、酒類販売のほか、株式売買手数料、再販指定商品の化粧品・医薬品、タクシーなど計15分野。全体でみると、移動体通信や石油製品、電力などにおいて比較的大きな利用者メリットの増加がみられた。これらの分野は、市場規模が大きく、規制・制度改革による価格低下が大きいことが、増加分を大きくした要因とみている。15分野合計では、利用者メリットの増加分は5兆4420億円にのぼった。

 酒類販売の場合、価格変動は、税制改正による税率変更によるものが多いため、価格低下幅から税率変更分を除外して、規制・制度改革の影響を分析している。対象としたビール・発泡酒・第三のビール、清酒、果実酒の2005年度から2008年度にかけての利用者メリットの増加は、ビール・発泡酒・第三のビールが5825億円、清酒が241億円、果実酒が94億円で、全体では6160億円と推計されている。

 清酒については1998年9月における需給調整要件の人口基準緩和以降の利用者メリットを、ビール・発泡酒・第三のビール、果実酒については1991年7月における「流通・取引慣行に関する独占禁止法上の指針」公表以降の利用者メリットを推計。推計に当たっては、単位あたり課税額の変化などの影響を除去した価格を用い、その低下による利用者メリットの増加分を、規制・制度改革の進展による効果として推計している。

 酒類販売については、需給調整を目的に、従来、店舗間の距離や地域の人口が一定の基準を満たさない限り免許を受けられなかったが、酒販免許の自由化のため2001年1月には距離基準が廃止され、2003年8月末には、経営基盤の弱い酒販店の占める割合が高いとして税務署長が指定した緊急調整地域(1年間に限り、新規免許交付や酒販店の転入を禁止)を除き、人口基準が廃止されて、酒販免許が自由化されている。

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