2010年10月12日-1
扶養控除廃止で41制度に負担増の影響~政府税調

 政府税制調査会は6日会合を開き、2011年度税制改正に向けた議論をスタートさせたが、その席上で、控除廃止の影響に係るプロジェクトチーム(PT)がとりまとめた報告書が公表された。所得税・個人住民税の扶養控除については、2010年度税制改正において、年少扶養控除及び16~18歳までの特定扶養控除の上乗せ部分が廃止されたが、この見直しに伴い国民健康保険料や保育料など41制度で負担増の影響が出ることが明らかになった。

 報告書によると、41制度のうち、税額等に応じて料金等を設定しているのは「保育所の保育料」など33制度。例えば、現行の保育所の保育料は、所得税額が4万円未満の場合は月額3万円、同4万円以上10.3万円未満の場合は同4.45万円と設定されているが、何ら対応を講じなければ、扶養控除の見直しにより、例えば、所得税額が3万円から4.9万円になったケースでは、保育料は3万円から4.45万円に上昇すると試算している。

 残りの8制度については、例えば、公営住宅の入居などに用いる基準収入の算定において、特定扶養親族を有する者は特定扶養親族一人当たり58万円(一般扶養親族の場合は38万円)を差し引くなど、税法上の特定扶養親族等を有する者を優遇している制度だ。扶養控除の見直しにより、特定扶養親族は一般扶養親族として取り扱われるため、何ら対応を講じなければ、基準収入が上昇し、公営住宅の家賃などが上昇するケースも生じるという。

 報告書では、これらへの対応として税額方式を改め、(1)諸控除見直しの影響を受けないという観点から将来的には望ましい「税額等を活用しない方式」、(2)扶養控除の見直しによる影響をできるだけ遮断するという観点から望ましい「簡便な調整方式」、(3)真にやむを得ない事情がある場合に限って採用することができる「モデル世帯方式」の3方式を明示。各府省は、国民健康保険税を除いた40制度で(2)の方式を軸に検討を進めている。

ウィンドウを閉じる