2010年10月04日-2
年金保険、課税部分と非課税部分に振り分け計算

 財務省と国税庁は、年金方式の保険に対する相続税と所得税の二重課税を巡って、個人が納めすぎた所得税の還付を、2005年分から2009年分については今月下旬から始めると発表した。また、現行法では時効となっている2004年分以前も5年分を還付する方針を明らかにしたが、今回の所得税の還付には、所得税法施行令を改正して、「年金保険」に係る所得税の取扱いを変更する必要がある。

 現行法では、各年の「年金保険」の所得金額(年金収入金額-支払保険料)の全額に所得税を課税している。変更後は、各年の「保険年金」を所得税の課税部分と非課税部分に振り分け、課税部分の所得金額(課税部分の年金収入金額-課税部分の支払保険料)にのみ所得税を課税する。「保険年金」支給の初年は全額非課税とし、2年目以降、非課税部分が同額ずつ階段状に徐々に減少していくという簡易な方法により計算する。

 この課税部分と非課税部分の計算方法は、定額払いの確定年金に限らず、終身年金や有期年金、逓増型や逓減型などの年金種類や支払方法、さらにはその支給期間にかかわらず用いることができる。また、還付額は、取扱い変更前の納付済みの所得税額から、各年の保険年金の課税部分に係る所得を納税者の他の所得と合算して算出した取扱い変更後の所得税額を差し引いて算出する。

 なお、各年の年金額が同額であっても、非課税対象額が異なることから、還付額も各年において異なる。また、課税部分に係る所得金額の計算では、支払保険料を控除するので、支払保険料の割合が高い年金については、その割合が低い年金に比べて、取扱い変更前においても課税対象所得金額は小さくなっている。したがって、個人年金等の支払保険料の割合が高い年金は、取扱い変更による非課税部分の所得金額は小さくなる。

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