2010年10月04日-1
生保二重課税、過去10年分を還付する方針

 今年7月、遺族が年金として受給する生命保険のうち、相続税の課税対象となった部分については、所得税の課税対象とならないとする、いわゆる生命保険の二重課税問題に関する最高裁の判決があった。財務省と国税庁は1日、この二重課税を巡って、個人が納めすぎた所得税の還付を今月下旬から始めるとともに、現行法では時効となっている5年を超える部分を含め「過去10年分」を還付する方針を明らかにした。

 還付の対象となる保険は、(1)年金形式で受給している死亡保険金、(2)学資保険の契約者が亡くなったことに伴い受給する養育年金、(3)個人年金保険契約に基づく年金で、生命保険会社や旧簡易保険、損害保険会社、JA共済、全労災などが取り扱っている。これらの「保険年金」について、今月下旬に所得税法施行令を改正して取扱いを変更する。2005年分から2009年分については、取扱い変更後、所得税の還付の手続きが可能となる。

 今回の取扱いの変更の対象となる「年金保険」の受給者のうち、その年分の所得税が源泉徴収されている人には、生命保険会社などから通知されることになっているが、年金所得が少額で所得税が源泉徴収されなかった人は、今月下旬の取扱い変更後、生命保険会社等各社に自ら照会しなければならない。また、確定申告している人は「更正の請求」を、確定申告をしていない人は「確定申告(還付申告)」する必要がある。

 一方、現行法では時効となる5年を超える2004年分以前の「保険年金」に係る所得税の還付については、税務署における確定申告書等の保存期間や民法の債権の消滅時効の期間などを踏まえて、2000年分以降の「保険年金」に係る所得税についても還付する方向で検討する。ただし、この特別な還付措置は法律改正が必要なので、実際の還付手続きは、法律案が国会で成立する来年春以降からとなろう。

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