2010年09月27日-3
会計参与に就任している税理士法人はわずか7.2%

 2005年6月に成立した会社法において導入された会計参与制度は、取締役・執行役と共同して計算書類を作成することを義務とするもの。日本税理士会連合会が1959税理士法人を対象に今年6月に実施した「会計参与に関するアンケート調査」結果によると、現在、会計参与に「就任している」との回答はわずか7.2%(141件)だった。無回答が15.6%あるものの、「就任していない」とする税理士法人が77.2%を占める。

 会計参与に就任していない税理士法人のその理由(複数回答)については、「顧問先から要請がない」との回答が79.0%と圧倒的に多く、次いで「責任が重いため就任を断っている」が13.7%、「その他」が4.0%のほか、「今後、就任予定でいる」との回答が3.6%(55件)あった。「その他」では、「大半の税理士は形式的な会計参与で実際の会計内容まで検討していない。税理士会全体の信用問題に関わる」との批判的意見もみられた。

 会計参与に就任していると答えた税理士法人が会計参与に就任している企業数は、「1社」が62.4%で最多、次いで「2社」が22.7%、「3社」が7.1%となっており、「1~3社」が9割強を占めた。また、会計参与の任期は、「2年」が54.6%で最多、次いで「4年」が12.8%、「1年」が11.3%、「3年」が9.2%となっており、「1~3年」が75.2%、「4~5年」が17.0%だった。「10年」との任期も6.4%あった。

 会計参与に就任した経緯については、「関与先からの要請」が68.1%、次いで「自らの働きかけ」が28.8%だった。中小企業庁が2008年度に実施した「中小企業経営者の会計に関する実態調査」結果では、会計参与を設置した理由(複数回答)として、「金融機関等に対する全般的な信用力を高めたい」が45.8%、次いで「顧問公認会計士・税理士からの要望」が26.6%となっており、ある程度関与先からのニーズはありそうだ。

 もっとも同調査において、「すでに導入」している企業は7.7%に過ぎない。「今後導入する予定」が1.4%、「周囲の状況をみて考える」が11.4%あった。今回の日税連の調査は税理士法人が対象とはいえ、会計参与制度が普及している状況とはいえない。結局のところ、中小企業は「計算書類の作成の大半は顧問税理士等に任せてある」ところが大半と思われ、会計参与を設置してニーズがある企業は1割といったところが現実か。

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