2010年09月27日-2
中小企業の新会計処理作成へ向け中間報告書案公表

 中小企業庁に設けられた中小企業の会計に関する研究会(座長:江頭憲次郎早稲田大学大学院教授)が9月17日に開かれ、中間報告書をとりまとめた。新たに中小企業の会計処理のあり方を示すものを取りまとめるにあたっての基本方針を策定するとともに、今後、広く中小企業関係者が参加し、活発な議論が行われる過程で、中小企業自身が会計のユーザーとしての立場から中小企業の会計のあり方を考えるべき、としている。

 その基本方針として、「中小企業が会計実務の中で慣習として行っている会計処理(法人税法・企業会計原則に基づくものを含む)のうち、会社法の『一般に公正妥当と認められる企業会計の慣行』と言えるものを整理する」、「企業の実態に応じた会計処理を選択できる幅のあるもの(企業会計基準や中小指針の適用も当然に認められるもの)とする」などを掲げた。

 さらに、できる限り専門用語や難解な書きぶりを避け、簡潔かつ平易で分かりやすく書かれたものとし、記帳についても重要な構成要素として取り入れたものとするなど、企業会計基準をベースに、それを簡素化するアプローチ(トップダウン・アプローチ)ではなく、対象とする中小企業の属性を検討し、取得原価主義、企業会計原則等を踏まえつつ積み上げ方式で策定するアプローチ(ボトムアップ・アプローチ)を採るべきとしている。

 8月には企業会計基準委員会(ASBJ)や日本税理士会連合会などが参加する「非上場会社の会計基準に関する懇談会」が、現行の中小企業会計指針の見直しによって新指針を作成する方針を明らかにしている。中小経営者が利用しやすい新しい指針を作成することを決めており、この歩み寄りの中で、中小企業団体や金融機関、公認会計士など民間の専門家が主体となって新たな会計処理のとりまとめが行われることを期待している。

 中小企業の会計に関する研究会中間報告の全文は↓
 http://www.chusho.meti.go.jp/koukai/kenkyukai/kaikei/download/100917HS-5.pdf

ウィンドウを閉じる