2010年09月27日-1
世代間格差の現状と消費税増税・子ども手当を分析

 三菱UFJリサーチ&コンサルティングはこのほど世代間格差の現状と消費税増税・子ども手当政策をシミュレーション分析したレポートを発表した。同社独自の世代会計モデルの推計結果によると、生涯を通じた純受益(受益-税負担)がもっとも大きいのが70歳以上の+3533万円(世帯あたり)、対して最小が将来世代(19歳以下)の-7700万円減だった。そのため世代間格差は最大で1億1233億円に達している。

 世代間格差の主たる要因は社会保障と財政赤字。現行の社会保障制度は主として賦課方式の運営のため、将来世代の人口が少なくなれば、その分だけ一人あたりの負担は重くなる。そこで、世代間格差を最小化させるために必要となる消費税率を試算したところ、2011年度から7.4%の消費税率引上げ(現行の5%から12.4%へ引上げ)が必要となり、現役世代の負担が全体的に大きくなる一方で、将来世代の負担がかなり縮小される。

 ただし、消費税増税を先送りすればするほど、必要となる消費税の引上げ幅が大きくなる。消費税を先送りした場合、20~24歳世代と将来世代の世代間格差を最小化するために必要な増税をシミュレーションした結果、2015年まで先送りした場合は8.2%、2020年まで先送りした場合は9.4%、2025年まで先送りした場合は10.8%、2030年まで先送りした場合は12.5%の引上げがそれぞれ必要になる。

 また、子ども手当の導入の影響をシミュレーションしたところ、現在子どもを持つ20~30歳代世帯は生涯の純受益が270万~380万円増加するが、財源を手当しない場合はかえって、将来世代の純受益を650万円ほど減少させてしまう。将来世代の負担先送りを回避するためには、2011年度から1.3%の消費税率引上げが必要になる。この場合、若手現役世代の純受益は増加するが、45歳以上の中高年世帯の純受益は減少するという。

 同レポートの全文は↓
 http://www.murc.jp/sys_image/seiken_report/upload/1009171142_5354.pdf

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