2010年09月13日-2
消費税率引上げのタイミングにない~日本百貨店協会

 2010年7月の売上高総額が6002億円と29ヵ月連続で対前月比売上がマイナスの百貨店業界。日本百貨店協会(会員92社、251店舗)は、デフレ経済の現状では、消費税率引上げを議論できる環境になく、まずは社会保障制度と行財政制度を改革し、消費税制度そのものの見直しを先行すべきで、逆進性問題は所得税への給付付き税額控除の導入など先進事例を研究すべき、と主張している。

 また、行財政改革の効果を出し、社会保障制度改革をはじめ将来不安につながる問題解決の道筋をつけないまま、具体的な税率等を明示した増税論議だけが先行すると、将来不安が増幅し消費意欲を減退させ、個人消費の回復に水を差す。改正のタイミングとして、国民(消費者)が行財政改革の効果を実感し、個人消費の回復が完全に安定軌道になった時期を見極めることが必要としている。

 さらに、税率引上げで生じる経済(消費)活動への影響は極力軽微に抑えるべきで、そのためには、引上げは段階的ではなく極力一段階で行い、一度変更した税率は相当期間変更すべきではない。一部に“税率を段階的に引き上げて駆け込み需要による消費を喚起する”との意見があるが、この駆け込み需要とは必要な消費活動の前倒しであって、実態は消費喚起ではなく大きな反動減(将来の消費低迷)を伴うものと指摘している。

 また税率引上げに際しては、逆進性対策として給付付き税額控除制度の検討を求めている。消費税の逆進性問題への対策は、軽減税率(複数税率)制度の導入や食料品の非課税化などではなく、カナダの付加価値税(GST)に対する個人所得税の給付付き税額控除制度のように、基礎的支出に対する消費税分を所得税から控除する制度の創設など、海外先進事例を積極的に研究すべきであると主張している。

 同要望の詳細は↓
 http://www.meti.go.jp/committee/materials2/downloadfiles/g100804b03j.pdf

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