2010年09月09日-1
適用上限が収入2000万円で調整進む給与所得控除

 2011年度税制改正作業で、日本税理士会連合会(池田隼人啓会長)はじめ中小企業団体が注目しているのが、2010年度改正で廃止された「特殊支配同族会社における業務主宰役員給与の損金不算入制度」に代わる、給与所得控除を含めた所得税のあり方についてだ。給与所得控除の適用上限を一定額で打ち切る方向で調整が進んでいるもようだが、現状2000万円というのが有力ラインとなっている。

 日税連でも、経済産業省での税制改正ヒヤリングにおいて、「一定額以上の高額な給与収入については、給与所得控除額に限度額を定めるべきである。給与所得者に対する課税については、年末調整と確定申告との選択制とすべきである。特定支出控除を拡充し、給与所得者が確定申告を行う機会を増やすべきである」といった給与所得控除の限度額設定を要望した。

 現在の給与所得控除額は上限なく比例的に認められている。しかし、一定額以上の高額な給与収入の場合、限界的に増加した部分の収入について経費が比例的に増加するとは必ずしも言えず、実態を反映しているとは考えられない。また、給与所得者は自ら申告を行う機会が少ないため、給与所得控除の存在や所得計算の構造を知らず、納税者としての意識が必ずしも高くない。

 給与所得控除額に限度額を設けることで、実態に即した内容となる。給与所得者が年末調整と確定申告を選択できるような環境を整備することにより、勤務給与所得者の納税者意識の向上に資することができ、個人のプライバシー保護を図ることにもつながる。一方、税制調査会でも、特定支出控除の拡充の方向を検討しており、各業界に「給与所得者の必要経費にはどのようなものがあるのか、挙げて欲しい」と呼びかけている。

 日税連の経産省への要望は↓
 http://www.meti.go.jp/committee/materials2/downloadfiles/g100806c08j.pdf

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